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―総務省 勤勉手当制度化で通知― 成績主義強化を許さず、正規と同じ月数の実現を

 

総務省は6月9日付で「地方自治法の一部を改正する法律(会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給関係)の運用について(通知)」を発出し、地方自治法改正で支給可能となった会計年度任用職員への勤勉手当制度化について、自治体に準備を指示しました。


国との均衡と適正な処遇確保が支給の目的

 総務省は会計年度任用職員への勤勉手当支給制度化の法改正の趣旨を、「国の非常勤職員の取扱いとの均衡及び適正な処遇の確保の観点」と説明しています。

 法施行にあわせて「パートタイムの会計年度任用職員については、令和6年度から、対象となる職員に、勤勉手当を適切に支給すべきものである」としています。


期末と勤勉の両方支給が基本 「又は」規定は例外

 改正法文では「期末手当又は勤勉手当をできる」とされていることから、Q&Aで「仮に期末手当・勤勉手当を支給しないこととしたり、期末手当又は勤勉手当のいずれかのみを支給することとしたりした場合、地方自治法又は地方公務員法に反するという理解でよいか。」との問いを設けています。

 総務省は、「改正法の趣旨や、地方公務員法に定める情勢適応の原則や均衡の原則から、(中略)、期末手当と勤勉手当のいずれも支給することが基本となる」と回答し、両方支給することを基本としています。

 「又は」規定については、常勤職員は公務上又は通勤による災害以外による病気休職中の職員等には期末手当は支給されるが、勤勉手当は支給されないことから、「法制上、このように規定した」としています。


期末・勤勉手当の制度設計を例示 常勤との権衡で成績率を適用

 Q&Aでは、制度設計の具体例を示しています。

  【期末手当支給額】= ①期末手当基礎額 × ②期別支給割合 × ③ 在職期間別割合

  【勤勉手当支給額】= ①勤勉手当基礎額 × ②期間率 × ③成績率

 ここで成績主義強化のツールとされている「成績率」が出てきます。

 なお期間率については、「『勤務期間』については、令和5年度から通算する取扱いとすることが適当」としており、制度移行時のような更新した人も一律減額とはしないように取り扱うことを求めています。


年2回の支給の都度、人事評価結果の反映を求める

 総務省は支給にあたっての「基本的な考え方」で、「会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給にあたっての期間率や成績率の取扱い等、具体的な支給方法については、常勤職員の取扱いとの権衡を踏まえて定める必要があり、成績率については、人事評価の結果を適切に反映する必要がある」としています。

 そのうえでQ&Aでは、「人事評価の結果を勤勉手当の成績率に反映しない取扱いは可能か」との問いを立て、「地方公務員法において、『人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする』(法第23条第2項)との根本基準が規定されるとともに、『人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない』(法第23条の3)こととされている。○そのため、人事評価の結果を活用せずに勤勉手当を支給している状態は、地方公務員法の趣旨に反する」と回答し、自治体に成績率適用を強要しています。

 具体的には、「任期の長短にかかわらず、あるいは、フルタイムかパートタイムかにかかわらず、会計年度任用職員も含めたすべての職員が対象であり、職員の執務について、定期的に人事評価を行わなければならない」と、年2回の支給の都度、事前の人事評価の結果を反映させるよう例示しています。

 では、都・区での実際の運用はどうなっているでしょうか。


都=全職員から成績加算分の原資を控除 

 都の正規職員の勤勉手当の成績率は、業績評価が「全ての総合評価で最下位」の者を「下位」として勤勉手当の10%を拠出し、「中位」と「上位」はそれぞれ4%を拠出し、その原資を40%程度の「上位」に加算する仕組みです。つまり、成績が標準であっても満額はもらえないのです。


区=1月1日付の評価結果を翌年度の成績率に適用

 特別区の勤勉手当の成績率は、一律拠出割合が各区において定められるとし、その範囲は「上限1万分の400」で、配分は「下位」は1万分の9750、「最下位」は1万分の9500。「中位」は増減なし、「最上位」と「上位」は区長が定めるとされ、成績率の適用は、1月1日を基準日とする成績判定の結果を翌年度の支給に適用するとされています。


制度化にむけた課題は

 今後勤勉手当実現の闘いでの重点課題は何でしょうか。

●正規職員と同じ月数での勤勉手当支給を条例化させることです。その際、区における時間と日数による除外をなくし、都のように時間比例で支給させる制度とすることです。

●成績主義の強化を許さず、簡易な人事評価の仕組みとしつつ、「下位」評価を行わず、「標準」を基本とすることです。

 会計年度任用職員制度移行の3年間の取り組みで切り開いてきた到達点を確実なものとし、今年の秋の闘いに全ての組合員を結集して職場から闘いましょう。

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